無顆粒球症

顆粒球,特に好中球が著しく減少し,通常好中球数が500/μL以下となった状態のことである.赤血球・血小板数は正常である.原因として抗甲状腺薬,抗菌薬,消炎鎮痛薬などの薬剤性が最も多い.

 

❶発症:抗甲状腺薬などの薬剤を使用中〈薬剤が原因になりやすい〉

❷39〜40℃におよぶ高熱(重症感染症様),咽頭扁桃に白苔を伴う潰瘍,強い咽頭痛,全身衰弱感などがみられる.〈急性細菌感染症

❸末梢血で白血球↓↓,赤沈亢進,(※赤血球,血小板数は正常)骨髄でも骨髄球系↓↓(回復期↑↑)がみられる.➡無顆粒球症を考える.

治療 

早期発見,原因薬剤の即時中止が最重要!

⒈原因薬剤の中止

⒉抗菌薬

⒊G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)

⒋必要なら無菌室に収容

感染症を発症していなければ,感染予防が重要である.

●原因菌がわかるまではスペクトラムの広い抗菌薬を用いる.

●副腎皮質ステロイドによる治療は,敗血症性ショックや咽頭腫脹が著しい場合に限った方がよい.


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顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)は,好中球の産生を特異的に促進する造血因子である.

●G-CSFには好中球に対する作用の他,末梢血への幹細胞の動員や,感染症の抑制などにも効果が認められている.